バラが長い歴史にわたって人々に愛されてきた最大の理由が、その香りです。バラの香りはジャスミン、すずらんの香りとならんで、植物の代表的な香りです。

古来よりバラは香料の原料として栽培されて来ました。現在のトルコやブルガリアではロサ・ダマスケナ、モロッコや南フランスではロサ・センテフォリアが今でも栽培され、主要な産地となっています。

ダマスケナからは水蒸気蒸留法によって、センテフォリアは溶剤法によって抽出しますが、バラの精油を1s 得るために3tものバラが必要です。花の個数に換算するとおよそ140万個も必要です。
これら古来の香りを持つバラは、様々な交配が行われ現在に至るまで多様な品種を生み出して着ましたが、現在のバラは栽培原種やオールドローズに較べ、もっと複雑な香りを持っています。その香りの変化に大きな役割を果たしたのがロサ・ギガンティアのもつティーの香りで、成分のジメトキシン・メチルベンゼンは「ローズエレメント」といわれています。

ブルガリアのバラの谷の中心都市、カザンラクで200年昔からで使われていた蒸留釜のレプリカ(第5回国際バラとガーデニングショー展示)



現在バラの香りは大きく以下の6種類に区分します。


@ ダマスククラッシック

ロサ・ダマスケナやロサ・センテフォリア、ロサ・ガリカのもつ甘く、華やかな香り。最もバラらしい香り。
 
芳純グラダナ、セシル・ブルンナー、アピール など

A ダマスクモダン
ダマスククラッシックと成分バランスが異なるため情熱的でかつ洗練された香り。

ネージュ・パルファム、パパ・メイアン、クリムソン・グロリー、レディ・ラック など

B ティー
上品で優雅な香りで、モダンローズの多くがこの香りを引き継ぐ。

レディ・ヒリンドンデュシュス・ドゥ・ブラバンガーデン・パーティ、マダム・シャルル・ソバージュ など

C フルーティ
ダマスククラシックとティーの香りが混在とした香り。アップルやピーチの香りが感じられる。

ダブル・ディライト、ホワイト・クリスマス、ドゥフトヴォルケ など

D ブルー
ダマスクモダンとティーの香りが混在とする、濃厚で独特な香り。

シャルル・ドゴールブルー・ムーンブルー・パルファン紫光ムーン・シャドウ など

E スパイシー
グローブ(丁子)に似た香り。

デンティ・ベス粉粧楼ロサ・ルゴサセント・セシリア  など

その他、芳香のバラ

ラ・フランス
ナイト・タイム
ドリー・パートン
ディオラマ
ポール・シャビール
ジャスト・ジョイーイ
スイート・ハート
魅惑
春芳
グラン・モゴール
マーガレット・メリル
シルバー・ライニング
イヴ・ピアジュ
セブンティーン
ピンク・シフォン


ブリガドーン
ミスター・リンカーン
オクラホマ
アリゾナ
スーパー・スター
ムーン・スプライト
フリージア
イントリーグ
ショッキング・ブルー
アメリカーナ
ブルグンド'81
エスメラルダ
ステファニー・ドゥ・モナコ
ファースト・ブラッシュ
ザ・マッカートニーローズ


マリアカラス
楽園
ドゥフト・ゴールド
アンドレ・ル・ノートル
アイス・バーグ


多くのオールド・ローズやイングリッシ・ローズなど