バラの花の色
バラの花色は無限といって良いくらい、さまざまな色があります。白、黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫を基本にそれらの中間色や、それらがややくすんだ色味(彩度が低い色)や、うすい色味(明度が高い色)があります。ただし青系統と黒はありません。(バラの花色でよく使われる「青バラ」は紫系統の色であり、「黒バラ」とは赤のくすんだ黒っぽい赤のをことを言います。)
ただし、色は人によって感じ方が
違います。一日の内でも朝、昼間、夕方では陽の光の変化もあって異なって見えます。また見る時の回りにある色によっても影響を受けます。さらにバラの場合は同じ株でも春の花と秋の花ではまるで違う品種と思えるほど色が変化するものもあります。全般的に温度の下がる秋の花は、春の花色に比べより濃く鮮やかにあるいはくすんで見えます。その上たとえ同じ品種でも植える場所(土や気象環境)によって色味が変化します。
このサイト、『バラの百科事典』は以下の色をバラの花色を表す基準色にして、編集者の主観によってそれぞれの花色を一応分類しています。(中間的なもの、複色とはいえないが微妙にさまざまな色がのって複雑な色も、最も強く感じる色味を基準に色分類しています。) 従ってご覧になる方によっては違う色、と思いになるケースも多々あると思います。
*以下の色名(英語、日本語とも)も、編集者が比較的一般的に使用されているだろうと考えられる色名を宛てていて、決して色彩学的に整合性の取れているものではありません。

01 White / 白 21 Aplicot / 肌色 41 lirac / 藤色
ピンク味の淡い紫。
02 Ivory / 鉛白(えんぱく)
真っ白ではなく、何らかの色味が極わずか感じられるもの。
22 Gold / みかん色 42 Purple / 藤紫
10 Cream / 乳白 23 Orange / 橙色 43 Violet / 紫

11 Lemon Yellow / 薄黄色
黄色ではあるがやや白っぽいもしくは黄緑味の黄色。

24 Orange Red / 朱色 44 Crimson / 紫紅色
濃いピンクというには紫味の強い色。 
12 Yellow / 黄色 31 Fire Red / 緋色
赤い花弁の裏が黄色だったり、輝くような赤。
51 Pale Pink / さくら色
13 Gold Yellow /黄金色
やや赤みを感じる、濃い鮮やかな黄色。
32 Red / 赤 52 Baby Pink /
これは色というより、状態を表わす色名として採択、淡いピンクに濃いピンクがにじむ、まさに赤ちゃんの頬の色。この色の品種は結構多い。
14 Marron Yellow /黄土色
くすんだ黄色でバフイエローとも言う。
33 Dark Red / 暗赤色
一般的に黒バラという、黒っぽい赤もしくは弁質がビロード状で深い赤。
53 Pink / 桃色
ローズピンクとも。
34 Brick Red / れんが色
茶色味の強く感じられる赤、もしくは茶系。
54 Coral Pink/ 珊瑚色
ピンクだがオレンジ味の強い、あるいはピンク地にオレンジ、黄色が複雑ににじむ色。
55 Shokking Pink /ぼたん色
濃くまた鮮やかなピンク。
60 Green / 緑 80 Combination / 複色 90 Others / その他
花よりも葉や刺に観賞価値のあるもの。
 

 花色のさまざまな表現

バラの園芸書の解説を読むと、その花色を表すのにさまざまな表現が用いられています。これは実際の色を少しでも読者に伝えようとする、筆者の方々の努力の結果で、印刷された写真を見るよりもその色がイメージできる豊かな表現もあります。しかし一方でさまざまな色名(特に外国語のカタカナ表現)が登場するため、読者が混乱するケースも少なくありません。

1)豊かな色表現
これらを読むと、単に花の色を表しているだけではなく、咲き進むにつれての花色の変化、花の形状や弁質までも感じさせる素晴らしい表現である。多くは高木絢子さんの著作から引用させていただいたが、筆者の確かな観察眼とそれ以上にバラに対する慈しみの思いが伝わってくる。
・赤紫色から咲き出してグレイをのせた散り際の色 (カーディナル・リシュリュー)
・明るいオレンジ黄色の丸いつぼみから淡いクリーム色に開花 (ジスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド)
・明るいソフトピンクの弁底にクリーム色をにじませる (エマニュエル)
・淡いピンクやサーモンピンク、黄色も秘めて複雑な色合いに開花(イングリッシュ・エレガンス)
・クリーム色にピンクやオレンジをにじませる繊細な色調(フォーチュンズ・イエロー)
・クリームをおびたアイボリーホワイトから弁咲きにラベンダーピンクをにじませる(マダム・アントワーヌ・マリー)
・クリームをのぞかせた淡いサーモンピンクのつぼみからクリームピンクに開花 (マヌフェイ)
・濃いバラ色のつぼみから中心にくすみのあるオレンジを残すように開花 (マダム・ロンバール)
・濃いピンクのつぼみから明るいピンクのカップ咲きに (プリフェラ・ドゥ・ルドゥテ)
・光沢のあるクリムソンレッドの花色はややモーブをおびます (デューク・オブ・エジンバラ)
・サーモンをおびたピンクから銅をのせたピンクへ (トライアンフ・デュ・ルクセンブルグ)
・ダーククリムソンからやや紫をおびて開花 (ウィリアム・シェークスピア)
・ダークなベルベット赤から暗い紫赤に咲き進み (トラディスカント)
・中心に濃いピンクを抱えるようなディーカップ (フェリシテ・パルマンティエ)
・銅橙色のつぼみから明るいオレンジ色に開花し、さらにくすみをおびた淡いピンクに変化 (ジャックネッタ)
・弁底にわずかに黄色を発色するクリーミーホワイト (マダム・ルグラ・ドゥ・サンジェルマン)
・やや青みのある濃いピンクのつぼみから明るいピンクに開花 (春芳)

2)色名いろいろ
園芸書に良く出てくる色名。これらをみると中間的な色、微妙な色の表現に苦心していることが伝わってくるが、一方で読者には解り難いものも多い。
・黄色味の淡いオレンジ色 − アプリコットイエロー、アプリコットオレンジ、バフオレンジ、びわ色、ミルクコヒー色
・黄色系の色名 − バターイエロー、ハニーイエロー、バフイエロー
・ピンク系統の色名 − シルバーピンク、パウダーピンク、ピンクベージュ、ローズピンク
・黄色味の強いピンク − アプリコットピンク、クリームピンク、コーラルピンク、サーモンピンク
・紫の入った赤 − クリムソンパープル、パープルクリムソン、パープルレッド、モーブ
・紫味の淡いピンク − ライラックピンク、ラベンダーピンク、ブルーグレー
・赤色系の色名 − クリムソンレッド、ベルベット赤、レンガ色、ローズレッド

さらに中間的な色を表すために、色名に形容詞を加えてよりイメージし易くしようとしている表現
・白にも見えるうすいピンク   ・ソフトで透き通るようなピンク  ・つやをおびた淡いピンク
・アイボリーがかったピンク  ・肌色のようなピンク  ・青みをおびたピンク  ・あたたかなカーネンションピンク
・甘いピンク  ・華やかなピンク   ・くすみのあるピンク    ・モーブをおびた明るいピンク
・ピンクをおびたアプリコットオレンジ  ・ピンクをにじませるクリームイエロー
・クリームをおびた乳白色   ・アプリコットをおびたクリーム   ・コクのある黄色    など

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