1. 大苗の場合

1)地植え 

@苗の根を包んでいたものを外し、バケツに汲み置きした水の中につけ、十分水を吸わす。このとき根の状態を確かめ、変色して腐りかけた根は切り取り、また根瘤センチュウなどの寄生が見られた場合はその根も切り取る。この作業は植付け穴を掘り起こす1時間前くらいまでに済ませ、以降植え付けるまでの間根を絶対に乾かさないようバケツにつけておく。(ただし長時間置いておくことは禁物)

A直径、深さとも最低60cmの穴を掘る。(この大きさで170リットルほどの土を掘り起こすことになります。)
この時掘り返した土を上層、中層、下層と凡そ3等分にして山を作り、埋め戻す際には土の層が入れ替わるようにします。
またここに同じバラ科の植物が植えられていた場合は、掘り返した土をほかの場所の土と入れ替えます。(いや地現象を防ぐ)
さらに土壌が強く酸性に傾いているようであれば、掘り返した土に石灰を振りまいておく。
なおできればここまでの作業は植付けの一週間前までに済ませ掘り上げた土を広げ、寒気や太陽光にあて、自然消毒をしておきたい。

B穴底に元肥となる牛糞や配合肥料を入れ、掘り起こした土を若干戻してよく混ぜ合わせる。このとき水捌けのあまり良くない土地柄の場合は、小石等を混入して土壌改良を図る。

C掘り起こした土を戻し入れ、穴の中で山形にする。なお掘り起こした際、土が固かった場合や土が細かく均一の場合は腐葉土、牛糞、コンポストなどを30リットルくらい混入する。
なお山の高さはその上に苗を乗せた場合台木との接ぎ口部分が地表より十分上に出る位置まで盛り上げる。

D苗の根を広げ、盛り上げた山の上に置き、残りの土にも腐葉土などを20リットルほど混ぜ埋め戻す。この際枝の向く方向や傾きに注意する。さらにこのときに、支柱を添えるほうが安全で、これにより株の沈みこみを防いだり、十分に根が張るまでの風害を防ぐことができます。また、接ぎ口に巻いたテープが残っている場合は、これを外します。

E地表の高さまで埋め戻したら、バケツ1杯の水を静かに流し込み土と根をなじませ、さらに土を落ち着かせる。水が引くと、埋め戻した部分が地表より下がるので、残りの土をさらに寄せ地表と同じ高さにする。このとき、はじめに置いたときは苗の接ぎ口が地表より上であったものが、土が沈み込んだために地表ギリギリの位置になるようにするのがポイント。地中に潜ってもいけないし、高いと以降の水遣りでさらに地表が下がり根が露出するようになる。この場合は寄せ土をして根の露出を隠す。なお水はけの悪い土地柄の場合、苗を置く山Cをさらに高くして、最終的に地表より盛り上げて植え付けるようにするのも良い。

F最後に株の出荷時はやや長めに枝が切られているのと、適切な芽の位置で切られている訳ではないため、枝を剪定する。また株元をバーク、小石等で直径60cm以上をマルチングする。これにより極度の乾燥が防げたり、雑草が生えるのを抑制できるばかりでなく、最も重要な役割として、雨水等の跳ね返りを防ぎ、それによる黒点病の発生をかなり防ぐことができる。
なおネームプレートを沿えて品種と植付け年月日を記入しておくと、後々の管理に役立ちます。

 
2)鉢植え

@苗の根を包んでいたものを外し、バケツに汲み置きした水の中につけ、十分水を吸わす。このとき根の状態を確かめ、変色して腐りかけた根は切り取る。また根瘤センチュウなどの寄生が見られた場合はその根も切り取る。この作業は植付け穴を掘り起こす1時間前くらいまでに済ませ、以降植え付けるまでの間根を絶対に乾かさないようバケツにつけておく。(ただし長時間置いておくことは禁物)

A鉢は最低でも7号以上の、さらに深さのある鉢を用意する。鉢底石は大きい鉢の場合は必要であるが、鉢が小さい場合は必要はない。ただし、砕いた木炭などは水はけはもとより、根の生育に効果があるのでゴロ土の変わりに木炭を使用が効果的である。その上に培養土を鉢の高さよりやや下がるくらい山形に盛ります。

Bその上に根を広げた苗を置き、接木部分を持ってやや株をねじ込む感じで山を軽く押しつぶします。こうすることによって根の納まりが良くなり土との馴染みも良くなります。この時に接木部分が鉢のヘリより5cm下がるくらいの位置が理想です。(あまり上過ぎると最終的に根が露出する)さらにほぼ鉢のヘリと同じ高さくらいまで土を入れます。その上で鉢を持って軽くコンコンと2、3度地面を叩くと土が落ち着き、ヘリより土の表面が下がります。さらに鉢底から流れ出るまで、静かに水をかけます。こうして最終的にウォータースペースが確保できれば完了です。万一表面が下がりすぎた場合は、増し土をします。

C最後にバークチップか砕いた炭(夏場は太陽熱を吸収して地温が上がり過ぎるので白っぽい素材が適する)をマルチングして表面を覆う。こうすることにより、短時間での極度の乾燥を防いだり、鉢中の温度変化を和らげたりするだけでなく、水遣りや、雨が降ったときの跳ね返りで発生する黒点病をかなり抑制することができる。
鉢植えのポイント

@肥料は土に混ぜない 鉢植えの場合は置き肥、液肥による追肥が管理がし易い。

A鉢植えの場合はあまり軽すぎる土だと、株が倒れ易いので適度な重さの土を用いる。

B鉢の材質は通気性に富んだ素焼き鉢や地中温度を安定させ易い駄温鉢を勧める方と、乾燥しすぎないことと軽いことが長所のプラ鉢を勧める方がいる。確かに通気性の良い鉢はどんな植物にも最適であるが、水遣りが十分にいつでもできない方の場合は、乾燥し易いため不向きである。さらにプラ鉢は軽いという長所もあるので、日当たりなどを求めて移動する場合も負担が軽い。要は自分が管理をどのくらいできるかによって決めるべきである。

C年1回は必ず植え替えを行う
バラは土中の養分の吸収が旺盛でかつ水を好むので、どうしても鉢のように限られた土だと、土質が固くなり痩せた土になってしまいます。毎年良い花と育成をさせるためには必ず冬の適期に植え替えをする必要があります。
2. 新苗の場合

ポリポットの新苗を入手したら遅霜の恐れがなくなるまでは、移動し易いようそのまま管理する。この場合ポットごと倒れやすいので、適切な大きさの木箱や素焼き鉢にポリポットのまま入れて管理をする。

1)地植え
新苗の場合、いきなり地植えをするより冬まで鉢植えで育成し、適期に地植えをするほうがの望ましい。十分管理ができる場合は、ほぼ大苗の地植えに準じるが、ポイントとしては、ポリポットから出したときに根鉢を崩さないことと、必ず支柱を立て、接ぎ口が十分活着するまで保護することが重要。

2)鉢植え
@鉢はポリポットが3号なら5号、5号なら7号を用意し、何も入れない状態でポリポットごと苗を置いて見る、ポリポットのヘリと本植えする鉢のヘリとの高さの差を、人指し指をあてて計る。ポリポットを取り出し、計った深さ分の培養土を入れる。こうすることで苗の植付けの高さが最適になる。なおバラの鉢植えの場合、鉢底石を入れる必要はあまりないが、深さがかなりある場合はゴロ土などを入れても良い。また木炭を砕いたものを入れると水はけ効果だけでなく、保水効果や根の育成を促進するのでより効果的である。

A培養土を適量入れた上でポリポットから苗を抜いて鉢に置く。この際絶対に根鉢を崩さないよう注意することと、接ぎ口を守る意味で接ぎ口より下を持って作業する。新苗は支柱が添えられて売られているのが普通であるが、育成していく経過を考えこの時にさらに支柱を沿え、接ぎ口の直ぐ下までさらに培養土を足す。

B鉢を両手で持ち、軽く2,3回コンコンと地面を叩くことで土が落ち着く。ここで鉢底から流れ出るくらいタップリの注ぎ込む。もし地表が下がり根鉢と新しく入れた土に段差ができたり、根の露出が多いようであれば増し土をする。
C最後にバークチップか砕いた炭をマルチング(夏場は太陽熱を吸収して地温が上がり過ぎるので白っぽい素材が適する)して表面を覆う。こうすることにより、短時間での極度の乾燥を防いだり、鉢中の温度変化を和らげたりするだけでなく、水遣りや、雨が降ったときの跳ね返りで発生する黒点病をかなり抑制することができる。
*なおその後の育成が旺盛で、鉢穴から白根がのぞくようであれば、同様の方法でさらに一回り大きな名鉢に植え替える(増し鉢)。
3. 鉢苗の場合

 鉢苗は開花時期に市場に出回る場合がほとんどのため、基本的に花が終わるまではそのまま楽しむ。春に購入したものは、花後に鉢穴から根が出ているようであれば静かに抜いて根鉢を崩さぬよう一回り大きな鉢に植え替える。秋に購入したものは冬の植え替え適期までそのままで管理し、時期がきたら鉢の植え替えあるいは地植えをするが方法は大苗に準じる。
4. その他樹形の違いによる植付けのポイント
1)つる、ランブラー
・大苗は販売用に伸びたつるをかなり切り詰めて出荷されているため、植え付け後の春には多くの花が望めません。その年に発生するシュートが伸びて、翌年からが本格的に花がつくようになります。この点新苗だと春に植え付けると、シュートがどんどん発生しますので翌年の春から十分花が楽しめます。
・基本的にこの系統はつるが旺盛に伸びるため、一番気をつけることは植付け場所の広さとと誘引スペースを品種の特性に合わせてきちんと確保すること。
・花や葉は太陽の側に付き、つるも光の多い方向に伸びていくので、植える位置をよく考えておかないと花が咲いてもほとんど見ることができなかったり、思った方向と違った向きにつるが伸びてしまいます。
・つるを塀や家の壁に誘引する場合は植付け穴を塀や壁から40〜50cm離し、根の伸びが十分確保できるようにする。
・つるバラは樹性が強く肥料の吸収量が多いので、ブッシュタイプのバラの1.5倍量くらいの肥料を与える。
・つるバラは地植えに適しますが、中にはあまりつるが伸びない品種や逆にシュラブタイプのものでもつるバラ風に仕立てることもできるので、このような品種は鉢植えも可能です。この場合基本的に大苗の鉢植えに準じますが、つるを誘引するための、鉢に付けるトレリスやあんどんを用意することと、それらを付けても転倒しない安定の良い大き目の鉢を選ぶことが重要です。

2)シュラブタイプ
・シュラブタイプのバラは伸びた枝がアーチを描くように広がるので周りや、株の間隔に十分注意します。ただしグランドカバーと呼ばれる地面を這うようなものからほぼ直立に伸びるものまでさまざまなタイプがあるので、よく品種の特性を植え付け前に確認しておく必要があります。なお同じようなシュラブを植えるときは株同士の枝先がわずかに重なりあう位の間隔が最適です。

3)スタンダード
幹をまっすぐに伸ばした台木に接木したスタンダードタイプは基本的には大苗の植付けに準じますが、必ず支柱を深く突き立て幹を補強する必要があります。