バラに適した環境

一口にバラといっても、品種によりその性格や育成に適する環境は大きく異なります。従って品種を選ぶ際に、植えようとする場所にあったものを選ぶことが何よりも大切で、それによって、樹をよい状態に保ち、良い花をたくさん咲かせられるか、さらには手入れの頻度までが変わってきます。こうした育成環境の中でも最も重要なのが、日照、、土質、風通しです。

1.日照 
バラは日当たりの良い場所を好む植物です。育成期(3月〜12月)は最低でも4時間は陽の当たる場所に植えましょう。できれば日の出から午後2時くらいまでの日照が確保できると最良です。ただし、強すぎる日差しや西日は樹勢を弱らせますのでそのような場所では、遮光をするなどの工夫が必要です。

2.適度な湿度
根の働きは養分や水分を土中から吸収することだけでなく、酸素も取り込んでいます。従って水はけが悪い場所では、雨が続くと土中の酸素がなくなり、根が窒息状態となり、根腐れを起こし、結果樹を枯らしてしまうことになりかねません。またバラは比較的水を好む植物なので水切れは育成に大きな影響を与えるため厳禁ですが、かといって常に湿った状態だと、根腐れを起こさないまでも、水分を求めて根が伸びないため根張りが悪くなります。

水はけの良い土ならば、水遣りと同時に空気が土中に取り込まれ、酸素が補給されますし、適切な乾湿の繰り返しは根を十分に張らせ、樹を丈夫にします。
どうしても水はけの良くない場所に植えなくてはならない場合は、十分掘り返し、穴底に小石を入れたり、腐葉土を多く混ぜ込むなど、土壌改良を行う必要があります。

3.風通し
風通しが良い場所を選ぶことは、植物を植える際にあまり考慮されないことが多いのですが、実はバラのみならずほとんどの植物にとって大切なことです。風通しにより樹間の蒸れを防ぐだけでなく、葉面からの蒸散活動が盛んになり新陳代謝が活発になります。結果、樹が丈夫になり、病気や害虫に対する抵抗力が増します。ただし樹が大きく揺れるような風の強さの場合は、刺が葉を引裂いたり、花が傷みますので、そうした場所に植える場合は風除けの工夫が必要です。

バラに適した土

良い土の条件

@通気性、排水性の良い土
土粒間に適度な隙間が多くあって水の流れがよければ、通気性も高まる。

A保水性に優れた土
水はけが良くても、土粒自体が水を抱えこめることが大切。

B保肥力のある土、有機質に富んだ土
土粒自体が凹凸に富んでいると、肥料の留まりが良く長期にわたって肥料が効くことになります。また腐葉土や牛糞なども保水、保肥に有効です。

 
C酸度が適正な土
日本の土壌は概ね弱酸性です。そうした土壌に育成する原種(ノイバラ)を台として苗が作られている場合が多いため、日本で生産されたバラは弱酸性土壌を好みます。ただしあまり酸性に傾くのも良くなく、こうした場所に植え込む際は事前に苦土石灰(アルカリ性)などをすき込み酸度調整をしておくことが必要です。また長期間の間に、雨などによって石灰分が流失したり、雨そのものが酸性だったりして、酸性度が高くなっていきますので、その場合も調整の必要があります。

D病害虫のいない清潔な土
バラが良くかかる病気には、うどん粉病や黒点病が上げられます。また根には根頭癌腫病や根マトーダが取り付きます。これらの病原菌は土中に生息することが多く、土壌管理が十分でないと、こうした病気を助長しかねません。

E適度な重さのある土
水はけを考慮するあまり、土をフカフカに軽くしすぎると、いくら根が張っても風や雪の影響を受け易く、成長を妨げることになりかねません。

Fいや地現象
・その植物に必要な養分が吸収されてしまっている
・その植物自体が出す有害物質が土の中に残っている
・病原菌が土中に残っている
以上のような理由から、これまでバラを植えていた同じ場所にバラを植えると、うまく育成しない現象が起きます。これが「いや地現象」です。

どうしても同じ場所に植えなくてはならない場合は、最低でも60cm立方の土は入れ替える必要があります。